Vol.34 No.1 (2000.7) 発  行:視聴覚情報研究会(AVIRG) 代表幹事:伊 藤 崇 之      〒157-8510 世田谷区砧 1-10-11      日本放送協会放送技術研究 所      TEL 03-5494-2361      FAX 03-5494-2371 T.2000年度通常総会議事録 書記 今井 篤 (NHK) 2000年度(平成12年度)AVIRGの通常総会は, 5月25日(木)午後5時より,東京大学工学部6 号館63号講義室において開催されました.総 会は,定足数73名に対し,出席者13名と委任 状提出者87名の計100名により成立しました. 上坂会長(東京理科大)の承認のもと,伊藤代 表幹事(NHK)を議長として,以下の順で進め られました. 1.1999年度事業報告  伊藤代表幹事より,下記報告がなされま した. (1) 例会の開催(5回),特別講演の開催(1回) (2) 会報の発行(6回) (3) 幹事会(6回) (4) 会員の除名手続きについて  会費未納や住所不明の会員の除名手続き が,昨年度の事業計画に基いて実施された ことが報告されました. (5) アンケート結果の報告 2.第18回AVIRG賞の選定報告  伊藤代表幹事より,本年度のAVIRG賞は, 7月例会で講演された本谷秀堅氏(東京大) に贈られることが発表されました. 3.1999年度収支決算報告 中川幹事(NHK)より,1999年度会計報告が 行われました.99年度は,昨年の総会での 決議(95,96年度の会費を98,99年度に振替え る)に基づく措置により,正会員会費収入が 減少しているため,会報作成を幹事側で印 刷を行うなど,経費節減を図ったことが併 せて説明されました. (なお,上記措置は99年度で終了したため, 2000年度は通常の正会員会費が請求されて います) 会計報告後,桑原監事(帝京科学大)より 会計監査報告が行われました. 4.2000年度活動計画 伊藤代表幹事より,2000年度の事業計画 として,年5回の例会と,総会時には特別講 演を開催すること,各会に合わせて会報を 発行することについて説明があり,承認さ れました.例会のテーマに関しては,特定 分野に偏ることなく,またできるだけ時宜 を得たテーマを選定する旨,特に要望があ りました. また,総会に先立って実施されたアンケ ート「AVIRG会報等の電子化について」の結 果を受けて,幹事内で会則等の検討WGを発 足し,電子化を視野に入れた新しい運営形 態について検討を行なうことになりました. 今年度に関しては,従来通り紙による会報 発行を年6回行ないます.アンケートの集計 結果については,p.5をご覧下さい. 5.2000年度予算案  伊藤代表幹事より予算案が説明され,承 認されました. 6.2000年度役員選出  伊藤代表幹事より,桑原監事の退任,尾 関新監事(電気通信大)の就任,他5名の幹事 の新任が案として提出され,承認されまし た.  以上で,全議事が終了しました. U.1999年度AVIRG例会開催一覧表 ・1999年度通常総会特別講演  日時 : 6月3日(木)  場所 : 東京大学工学部(本郷)  参加者: 19名  テーマ: 特別講演 1.「『使いやすさ』とは何か:コミュニ ケーションシステムを事例として」  原田 悦子 氏(法政大学) ・1999年度7月例会  日時 : 7月29日(木)  場所 : 東京工業大学(大岡山)  参加者: 20名  テーマ: 画像処理・認識  1.「画像中の図形が持つ階層構造の記 述」本谷 秀堅 氏(東京大学工学部) 2.「動画像からの3次元情報推定」 遠藤 利生 氏(富士通研究所) ・1999年度10月例会  日時 : 10月7日(木) 場所 : 東京大学工学部(本郷) 参加者: 34名 テーマ:音声認識・言語処理 1.「MDL基準を用いた音声認識単位の自 動生成」 篠田 浩一 氏(NEC C&Cメディア研究 所) 2.「音声認識のための精密かつ頑健な 音響モデル」 中村 篤 氏(ATR音声翻訳通信研究 所) ・1999年度11月例会  日時 : 11月25日(木)  場所 : 東京大学工学部(本郷) 参加者: 16名 テーマ:マルチメディア処理  1.「情報空間の知覚化」   広池 敦 氏(日立製作所中央研究 所)  2.「撮像面上に処理機能を統合したイ メージセンサ」  浜本 隆之 氏(東京理科大工学部) ・1999年度1月例会  日時 : 1月20日(木)  場所 : 東京大学工学部(本郷) 参加者: 23名 テーマ:生態情報処理  1.「ジター錯覚の生成機序」    村上 郁也 氏(NTTコミュニケー ション科学基礎研究所)  2.「ブレインコンピュータ(脳型コンピ ュータ)の開発に向けて」 市川 道教 氏(理化学研究所脳創 生デバイス研究チーム) ・1999年度3月例会  日時 : 3月23日(木)  場所 : 東京大学工学部(本郷) 参加者: 20名  テーマ: マンマシンインターフェース 1.「マンマシンインタフェース構築に 向けた顔画像認識」 福井 和広 氏(東芝研究開発センタ ーマルチメディアラボラ トリー) 2.「人間の聴覚的空間知覚特性」 大倉 典子 氏(芝浦工業大学工学部) V.第18回AVIRG賞について 第18回AVIRG賞は,7月例会において講演された東京大学の本谷秀堅氏に決定しました.  受賞者: 本谷 秀堅 (東京大学工学部) 対象講演: 「画像中の図形が持つ階層構造の記述」 選定理由: 図形のぼけや輪郭線の平滑化など画像の明暗や形に画像処理を施すことの 意義を深く追求し,個々の図形が持つ固有の特徴を抽出しようとする試み は,きわめてユニークでありかつ画像認識の根幹にかかわる基盤技術とな る可能性とパワーを秘めている.また視覚系における多重解像度分析との 関係など,人間の認知機構についても示唆に富む内容であり,画像認識と 認知機構の本質にかかわる議論を展開した講演は,1999年度の講演の中で も最もAVIRGらしい講演であった. 受賞者略歴:1993年3月 東京大学大学院工学系研究科 計数工学専攻修士修了 1993年4月 (株)東芝 研究開発センター 入社 1996年1月 同 退職 1996年1月 東京大学大学院工学系研究科 計数工学専攻助手就任 現在に至 る 受賞のことば:講演させていただいた内容は,図形の形状記述という地味なテーマに関す るものでした.このテーマは「画像の本質に関わる」と私本人はもちろん 考えているのですが,地味なだけに「華」に欠けることを自覚することも しばしばでした.ところが講演直後には講演内容を汲みとった良質の質 問・コメントを多数頂き,さらに会報では「…マルチメディアのような華 やかさはないが,あるいはブレークスルーを生みうる」といった内容の過 分な感想を頂戴しました.講演する機会を与えていただいたことを再度感 謝した次第です. AVIRGは画像や聴覚を横断する様々な分野に深い造詣を持つ方々により構成 されています.このAVIRGから研究を評価して頂いたことをとても光栄に思 います.この度は本当にありがとうございました. W. 1999年度AVIRG会計報告および2000年度予算  ◎収入の部 収入項目 1999年度予算 1999年度決算 2000年度予算 前年度繰越金 795,697 795,697 487,237 入会金 3,000 1,000 5,000 正会員会費 80,000 65,000 500,000 特別会員会費 120,000 210,000 210,000 雑収入 0 182 0 収入合計 998,697 1,071,879 1,202,237   ◎支出の部 支出項目 1999年度予算 1999年度決算 2000年度予算 業務委託費 400,000 332,907 400,000 会報等作成費 100,000 23,341 100,000 会報等郵送費 210,000 138,740 210,000 事務費 50,000 89,654 50,000 例会等補助費 30,000 0 30,000 引継会補助費 0 0 0 会報電子化費 0 0 100,000 雑費 10,000 0 10,000 予備費 198,697 487,237 300,237 支出合計 998,697 1,071,879 1,202,237 (単位は円) X.2000年度役員 *は新任 会長: 上坂 吉則 東京理科大学 監事: 佐藤 誠 東京工業大学 〃 : 尾関 和彦* 電気通信大学 代表幹事: 伊藤 崇之 NHK放送技術研究所 幹事: 井宮 淳 千葉大学 後藤 誠* 富士通研究所 影広 達彦 日立製作所中央研究所 川田 亮一 KDD研究所 倉立 尚明* 国際電信電話研究所先端情報科学研究部 登内 洋次郎* 東芝研究開発センター 村上 郁也 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 今井 篤* NHK放送技術研究所 丸亀 敦* 日本電気情報通信メディア研究本部 依田 育士 電子技術総合研究所 柳田 康幸 東京大学 熊澤 逸夫* 東京工業大学 Y.「AVIRG会報等の電子化について」アンケート結果概要 アンケート回答総数:85 ○ AVIRGの電子化と無料化について 電子化(イン ターネット化) 無料化 回答数(%) Yes Yes 76(89.4%) Yes No  3(3.5%) No No  4(4.7%) 他  2(2.4%) 計 85 ○ 会費無料にするための方法 手段 回答数 無料でサーバなどを置ける大学などに依頼 32 法人会員会費の継続 29 ホームページやメールに広告を掲載 17 必要に応じて寄付を募る 10 その他  5 ○ 電子化に反対の方の理由 理由 回答数 一覧性などの点で紙媒体の方が読みやすい  2 ネットへのアクセス手段を持っていない  1 紙媒体の方がファイルしやすい  1 ○ 会費無料化に反対の方の理由 理由 回答数 会費有料のまま今の活動を継続する  1 会費有料でもっと活動を充実させる  1 会費無料だと会の存在が希薄になる  1 Z.1999年度通常総会特別講演記録 「1ms超並列ビジョンチップとその応用」を拝聴して 講演: 石川 正俊 氏(東京大学) 報告: 伊藤 崇之 (NHK)  今回の特別講演は,三菱電機と並んで日本で のビジョンチップ研究の草分け的存在である東 大工学部計数工学科の石川正俊先生に講演をお 願いした.  先生は,10年以上にわたって超並列ビジョン チップの研究を続けてこられ,1msのフレームレ ートで画像を取り込み,デジタル超並列処理を 行う世界の最先端を行くビジョンチップを試作 された.また高速のロボットアームとのコンビ ネーションで物体の追跡,形状識別,把持とい った視覚−行動系シミュレーションから,ロボ ットダイナミクスの視覚学習,高速動作理解と マンマシンインターフェースなど幅広い応用へ の展開を図っておられる.  10数年来の研究を,1時間半と言う時間に凝縮 して,エネルギッシュにお話し頂いた.  なぜ1msなのか  演題にもあるように,先生は1msのフレームレ ートということにこだわって研究を続けて来ら れた.その理由は二つある.  一つは,システムの整合性という観点である. 従来の撮像系ではほとんどが1/30秒というフレ ームレートである.これはそもそも,テレビ放 送の規格を検討する際に,人間の視覚系の時間 分解能と周波数資源の有効利用や技術的限界と のトレードオフで決まったものであり,人間が テレビを見ることを目的に設計されたものであ る.  高速な機械の制御には,それに必要なサンプ リング周期がある,というのである.確かに, ロボットアームは人間の腕の動きに比べればは るかに早い動きが可能である.サーボモータの 制御サイクルタイムは100μsから1ms程度との ことであり,1msサンプルの入力系があって初め て,アームの実力が発揮される.  もう一つは,人間に関連したモノの動きをと らえる限り,1msの間隔であれば充分であるとい うことである.充分という意味は,画像処理の 観点から見て,1msの間隔であればモノの移動距 離は充分短いということである.例えば,西武 の松坂が投げる時速150kmのボールは,毎秒30 フレームの従来の撮像系では1mの動きとして表 されるのに対して,1msの撮像系では42mmの動き に過ぎない(このように考えると,サンプリン グ間隔は短い程良さそうだが,そうはならない. 撮像系の感度が問題になる.サンプリング間隔 が短ければ光電変換部への蓄積時間が短くなる ため,S/Nが悪くなってしまう). ペダンティック・ソリューション vs.     セオレティカル・ソリューション ビジョンの研究者にはおなじみであるが,動き 検出は,2枚の連続する時系列画像の中で対応す る点同士を見つけてその移動方向と距離を求め ること,すなわち,いわゆる対応点問題を解決 する必要がある.この対応点問題は,対応すべ き点が離れていればいる程,探索範囲も広くな り誤った解になりやすい.したがって、様々な 拘束条件を用いるなど,多数の解法を提案され ているわけである.  この探索範囲が狭ければ狭い程,対応点問題 の解は求めやすくなる.先生は「人間の動きを 中心に考えると,1ms内での動きはほとんど1 ピクセル内に収まってしまう.対応点問題とい うが,1msの世界では『問題』ですらない. 非常にやさしい課題ですよ.」とおっしゃる. 「ペダンティック・ソリューションを求めるの ではなく,セオレティカル・ソリューションを 求めよ」というのが先生の研究室の基本方針の 一つとのことであった.従来のビジョンの研究 がすべてペダンティックだと指摘されているわ けではない.「難しくなければ学問ではない」と いう,ともすれば研究者の陥りがちな思考癖を 捨てて,「その課題を解決する最適な手法は何 か」という立場に立って純粋に問題を捉えるべ きだという思想である.  画像処理や画像認識を生業とする身にとって はやや耳の痛い話ではあった.しかし,上記の ように問題が軽くなってしまうと画像処理に要 するコンピューティングパワーが圧倒的に軽く なり,処理ユニットやメモリもコンパクトにで きることが理解できると,先生の主張は説得力 に満ちたものになる.このようにビジョンチッ プにとって非常に重要な効果が得られたのは, 取りも直さず,システム全体を見通して最適性 を追求した結果に他ならない. デジタルであること C. Mead, Wyatt, Gruss など,これまでの主 なビジョンチップ研究はアナログLSIである.ア ナログ回路は集積化が容易なため解像度を確保 しやすいと言うメリットがある.しかし処理内 容によって回路構成が異なるため,処理を変更 するためには回路も変更する必要があり柔軟性 に欠ける.一方デジタル回路では,各種演算を 行う回路の規模が大きいため,集積度を上げる ためにはコンパクトな設計が必要となる.  このような違いを持つアナログとデジタルで あるが,先生は「汎用性」を重視してデジタル の道を選択された.LSIの設計技術が時代ととも に急速に進歩して行くということを見通した上 での選択である. 完全並列ビジョンチップ  さて、上記のような考え方で設定された設計 目標は、フォトディテクタ(PD)と処理エレメ ント(PE)が1対1で接続された完全並列(ス キャンをしない)デジタル処理プロセッサであ る.しかも撮像から処理までを1ms以内で処理す る.  この目標を実現するためには,様々な技術課 題を解決する必要があったとのことであるが, やや専門的に過ぎるので割愛させて頂く.でき あがったチップは,フォトディテクタ付きビッ トシリアルSIMD型並列計算機(16x16PE)である. 理論的には最先端LSI技術で128x128PEが実現可 能とのことである.約15年前,MITのヒリスが超 並列型計算機「コネクションマシン」を提案し, 一世を風靡したわけであるが、このLSIはまさに このコネクションマシンと高速撮像系とを融合 してワンチップ化したものなのである.  ちなみに,動作クロックが70nsなので,処理 時間は,例えば エッジ検出(4近傍,1bit) 0.9μs エッジ検出(4近傍,8bit) 5.6μs 3x3フィルタ        30μs と,1msと比較すれば充分過ぎるほど早い.      デモンストレーション 講演の後半は,デモビデオの紹介を中心に,ビ ジョンチップのアプリケーションを御紹介頂い た. (1) アクティブビジョン  ビジョンチップを積んだカメラヘッドがドリ ブルされているバスケットボールを追っかけて 首を振る、というもので、御覧になった方も多 いかもしれない.何と言ってもそのスムーズで 素早いカメラヘッドの動きは,見るものを圧倒 する.ドリブルする人間がボールをつくタイミ ングや方向を変えてみるものの,アクティブビ ジョンシステムは見事にそれに適応し,リアル タイムで追従する.これが1msサンプリングの威 力か,と思い知らされる.また視野内の解像度 は低いものの,高速でターゲットトラッキング が可能なアクティブビジョンにより,実質的に は高解像度/広視野が得られることを示してい る.関連するデモとして,形状識別しながらの ターゲットトラッキング,アクティブビジョン で検出した人間の動きを機械に学習させるマシ ン・ティーチング,顕微鏡下でのぶれのキャン セレーション,あるいは視覚で得た形状情報を 力覚ディスプレイで触覚に変換する感覚モーダ ル変換などなど,高速ビジュアルフィードバッ クの様々な応用への可能性が示された.  工学的応用のみならず,中心視/周辺視とビ ジュアルサーチ,あるいは眼球運動制御モデル など視覚や視覚−運動系の研究のプラットフォ ームとしても大いに利用できそうである.また その結果として,新しい工学的応用を生み出す というポジティブフィードバックも期待できる. (2) 1ms感覚運動統合システム  これは高速ロボットアームの制御系の中にア クティブビジョンと触覚のセンサーシステムを 組み入れ,すべてを1msのサイクルで動かそうと するものである.例えば手の形状のプリシェイ ピングや把持,動物体に対する衝突回避動作, 人間との握手など,極めて複雑なロボットの動 作が,アクティブビジョンシステムからの情報 やアーム内の触覚情報に基づいて制御されてい る様がビデオで示された.ロボットの動きはき わめてしなやかで,自然である.一方,全てを 1msサイクルで動かすために,外部に並列DSP群 からなる高速処理部を配している.  ビジョン以外の処理がさらに増えていくと, ビジョンチップ内と同様の並列処理が可能かど うかが高速動作実現の鍵を握っているように思 われる.視覚系のようにデータの並列性が陽に 現れている処理系だけでなく,触覚情報処理, 運動制御系等における脳内の並列処理アルゴリ ズムの研究が今後さらに望まれる.  また,動物が持つ反射と大脳処理系という2 つの感覚−運動系に相当する情報処理系を組み 込むとさらに柔軟な動作が可能か?などと想像 をめぐらした.         おわりに 先生は,感覚運動統合システムのロボットア ームにバットを握らせて時速150kmのボールを 打つという,チャレンジングな目標を設定して おられる.また,ITS(Intelligent Transportation System)など新しい分野への応 用も検討されていると聞く.今後とも,先生の チャレンジ精神旺盛なご研究に期待したい.  一方,今回紹介して頂いた一連のご研究は, 当然のことながら脳の視覚や視覚−運動系の研 究とも密接な関係がある.この分野での研究の 進展と本システムへの反映も,今後,大いに楽 しみなところである. [.7月例会予定 7月の例会は,  日時:7月27日(木)14時〜17時  場所:東京工業大学(大岡山) ベンチャー ビジネスラボラトリー棟1階ホール で開催します.交通手段は,東急大井町線,ま たは,目蒲線で大岡山駅下車徒歩1分です.詳 しくは以下のURLをご覧下さい. http://www.titech.ac.jp/maps/index-j.html http://www.titech.ac.jp/maps/ookayama/ の中の石川台地区をクリックして下さい. テーマは,『画像処理・認識,メディア理解』で す.講演者およびタイトルは,以下の2件を予 定しております. ●「フィルタバンク/ウェーヴレットの理論と画 像処理・認識への応用」 講演者:長井 隆行 氏(電気通信大学電子工学 専攻) ウェーヴレット変換は,様々な分野で応用され 注目を集めている.また,フィルタバンクはウ ェーヴレット変換と非常に密接な関係にあり, 幅広く応用されている.本講演では,こうした フィルタバンク/ウェーヴレットの基礎となる, マルチレート信号処理,時間周波数解析を概説 し,フィルタ(基底関数)の設計法について述 べる.また後半では、フィルタバンク/ウェーヴ レットの画像処理・認識への応用について,い くつかの研究事例を通して考察する. 《参考文献》 [1] T. Nagai, T. Fuchie, and M. Ikehara, "Design of Linear Phase M-Channel Perfect Reconstruction FIR Filter Banks", IEEE Trans. on Signal Processing,VOL.45 NO.9, pp.2380-2387 Sep.1997 [2] T. Nagai, C. W. Kok, M. Ikehara, and T. Q. Nguyen, "Design and Lattice Structure of FIR Paraunitary Filter Banks with Linear Phase", IEICE Trans. Fundamentals, VOL.E80-A NO.4, pp.712-721 Apr.1997 ●「集積回路DA概論」 講演者:大豆生田 利章 氏(群馬高専) 集積回路の論理設計からレイアウト(実装)設 計まで一貫した自動設計を行うデザインオート メーション(DA)に関する概要を述べる. デザインオートメーションにはシステム設計, 論理設計, 論理合成, 回路設計, レイアウト設 計, テスト設計が含まれるが, 特に論理合成お よびテスト設計に重点を置く. 論理合成とは, 回路の仕様記述から論理回路を自動的に生成す る技術であり, テスト設計は製品が良品か不良 品かの選別テストを行うための設計である. テ スト設計は回路規模が増大するにつれ困難にな るため, テストを容易にするためにテスト容易 化設計と呼ばれる手法が用いられる. 最後に, このテスト容易化設計の各種手法を述べて, デ ザインオートメーションの他の段階との関連に 触れる. 《参考文献》 [1]菅野卓雄監修,堀口勝治編著,“ULSI設計技 術”,電子情報通信学会 (1993) [2]今井正治編著,“ASIC技術の基礎と応用”,電 子情報通信学会 (1994) [3]寺井秀一著,“VLSIデザインオートメーショ ン入門”,コロナ社 (1999) 「AVIRG補完計画 --- 退任幹事からの提言 ---」 木下 敬介 氏(ATR人間情報通信研究所)  5年間の幹事任務を終えました. AVIRGが今後どのようになっていくのかに とても興味があります.しばらくメーリン グリストをwatchさせていただいてよろし いでしょうか. 総会・懇親会でも申しましたが,もう一度 無茶を言って,陰に隠れます.  AVIRGが関連する分野(PR, CV, NN, 音声, 心理,生理 など.以降「兄弟」と呼称しま す)は,どれも閉塞感が漂っているような気 がします.生まれたころは,同じ屋根の下 に暮らしていた兄弟達ですが,現在は,そ れぞれ独立し,別々に暮らし,正月にだけ 顔を合わせるくらいの疎遠さになっていま す.しかも, 兄弟達は年老い,役立たずと 世間から見放され,自ら生きていくのさえ 困難です.今は, 分家のマルチメディア・ ヴァーチャルリアリティー一族が幅を利か せています.そんな状況下で,兄弟どうし 身も心もひとつに融合し,補完しあう場が あってもよいと思うのです.  現在のAVIRGのかたちを細々と続けてい くことも可能でしょうが,忘れられ消えて いくのは時間の問題です.数年前の休止期 間中に「例会がない」という不満の声がど れだけ聞かれたでしょうか? AVIRGの存在意義は, 1.優れた講演をだれでも無料で聴講できる 2.兄弟分野間の交流の促進 だと思います.しかし, 両者ともうまく機 能しているとは思えません.幹事だけの仲 良しクラブが実態ではないでしょうか.  例会の雰囲気はすばらしいと思いますが, 聴衆が少なすぎます.幹事だけでなく,兄 弟分野の研究者がぜひとも参加したくなる ような雰囲気とシステムを作り出す必要が あります.ホームページを作成したり,兄 弟分野のメーリングリストや掲示板をそこ に集約するのも一案です.兄弟分野の研究 者が,一日一回,最新情報,議論の座を求 めてアクセスするようなホームページにな るといいと思います. 重要なのは,1, 2 を提供するということで す. AVIRGがいまのところ最もいいポジシ ョンにいます.会則や会費の問題が障害と なるようなら,現在のAVIRGを解散して,よ り自由度のある組織(組織である必要もな いかも)に再生してもよいと思います. 生き残るのは,生きる意思を持った者だ けです.どうせ消えていくのなら,変化に 賭けましょう.いいチャンスだと思います. (幹事を辞めた直後にこういうことを言う のはずるいというのは承知しています.ま た,昔,一世を風靡した某アニメのパクリ だという意見も甘受します.今頃ハマって いるんです.) 〜会員登録情報の変更のお願い〜 AVIRG会員の御所属,会報送付先など登録情報に変更がありましたら,お手数ですが以下のいずれ かにご連絡ください. ◎ (財)日本学会事務センター 会員業務係 ◎ 電子メール(2000年度中) avirg-member@vision.STRL.nhk.or.jp (AVIRG幹事宛)  (注) 会員の確認のために,御氏名とともに,必ず会員番号を明記して下さい.      会員番号および学会事務センターの連絡先は会報郵送時の封筒に印刷されています. 11